ドイツの公的健康保険の薬剤費支出動向をまとめた『医薬品処方レポート』の2011年版がこのほど発表された。それによると、2010年の国内薬剤費支出は297億ユーロで、前年に比べて4.3%(12億2,000万ユーロ)増加。処方件数は変化がなかったものの、高額な特許薬の利用が増えたことで支出が押し上げられた。価格の安い後発医薬品の処方を増やせば、医療の質を落とさずに薬剤費を81億ユーロ節約できたという。
\公的健保が10年に負担した医療費支出額は1,650億ユーロで、薬剤費は全体の18%を占めた。薬剤費以外の内訳は入院治療費が35%、外来診療費が16%、歯科治療が7%、その他が23%となっている。
\処方件数全体に占める後発医薬品(ジェネリック薬)の割合は71.1%で、前年から1ポイント増加した。一方、薬剤費支出に占める割合は1.2ポイント減の34.7%に減少しており、件数の少ない特許薬が薬剤支出を押し上げていることが分かる。
\レポートではまた、ドイツの薬価が周辺諸国に比べ依然として高いことが指摘された。特許薬の価格が英国並みの水準であれば、薬剤費支出は41億ユーロ削減できた計算という。
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