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2011/10/26

総合 - ドイツ経済ニュース

景気見通し悪化も投資・雇用はなお拡大

この記事の要約

独商工会議所連合会(DIHK)は19日に発表した「秋季景気アンケート調査報告」のなかで、今年の国内総生産(GDP)成長率を5月に示した実質3.5%から同3.0%へと下方修正した。景気回復のピークが過ぎたほか、ユーロ危機な […]

独商工会議所連合会(DIHK)は19日に発表した「秋季景気アンケート調査報告」のなかで、今年の国内総生産(GDP)成長率を5月に示した実質3.5%から同3.0%へと下方修正した。景気回復のピークが過ぎたほか、ユーロ危機などで経済の先行き不透明感も増しているためだ。ただ、投資や雇用拡大に依然として前向きな企業が多いため、景気は鈍化しながらも内需主導で拡大していく見通しという。2012年成長率は1.0%を見込む。

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DIHKは毎年、年初と初夏、秋の3回、会員企業を対象に大規模な景気アンケート調査を実施しており、今回は2万8,000社強から有効回答を得た。

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それによると、事業の現状を「良い」とする回答は46%、「悪い」は同9%で、ともに初夏の前回調査と同じ数値にとどまった。リーマンショックからの回復後は「良い」が増加、「悪い」が減少を続けてきたが、ここにきて頭打ち感が鮮明化。Ifo企業景況感調査の現状判断指数も10月は前月比で1.2ポイント低下し、4カ月連続で悪化した。

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DIHKの調査では現状判断は化学などの製造業で悪化した。一方、建設や消費産業は極めて良好という。

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今後1年間の事業の見通しについては「良い」が前回の34%から23%に大きく減少。「悪い」は同9%から16%に増加した。ギリシャなどの財政危機が信用危機に発展するとの懸念が強く響いたもようだ。

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輸出額の見通しも「増える」が12ポイント減の30%に低下、「減る」は7%から13%へと増加した。世界経済減速のほか、欧州や米国などの先進国で財政再建が本格化することが大きなマイナス要因となっている。ただ、アジア、ラテンアメリカ、一部の東欧諸国、トルコなどの新興市場は堅調を保っており、これらの国・地域への輸出は好調に推移する見通しという。

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こうしたなかで、今後1年間に投資額については「増やす」が4ポイント減、「減らす」が2ポイント増と悪化幅がともに小さかった。低金利で資金を調達しやすい環境のほか、実体経済を反映する景気のハードデータ(GDPや製造業受注など)は景況感などのソフトデータほど悪化していないことが背景にある。このため、今後1年間に従業員数を「増やす」計画の企業は19%に達し、「減らす」の10%を9ポイント上回った。

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DIHKは報告書の中で、「経済政策が景気のリスク要因となっている」との回答が全体の45%に達したことを指摘。ユーロ圏財政危機問題で適切な対策を打ち出さなければ、リセッションに陥る恐れがあると警鐘を鳴らした。

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