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2011/10/26

経済産業情報

EUのナノマテリアル定義案を化学業界が批判

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会が18日に発表した「ナノマテリアル」の定義案を化学業界が批判している。欧州委案によると、ナノマテリアルは大きさによって定義されており、独化学工業会(VCI)は、「日常製品のほとんどすべてがナノ […]

欧州連合(EU)の欧州委員会が18日に発表した「ナノマテリアル」の定義案を化学業界が批判している。欧州委案によると、ナノマテリアルは大きさによって定義されており、独化学工業会(VCI)は、「日常製品のほとんどすべてがナノマテリアルを含む製品になってしまう」と指摘、欧州化学工業連盟(CEFIC)も「定義は雑すぎる」と難色を示す。

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欧州委が提案したナノマテリアルの定義は「自然由来または製造過程で(非意図的に)発生・(意図的に)製造した、分散、集合、凝集状態の粒子を含む物質。大きさを示す3次元のうち少なくとも1つの次元が1nm~100nmである粒子が全体の50%以上であること」というもの。これはEUの「新生かつ新たに特定された健康リスクに関する科学委員会(SCENIHR)」と欧州委の共同研究センター(JRC)の鑑定をベースに策定したもので、ナノマテリアルの健康・環境リスクについては定義の対象としていない。

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VCIは「欧州委案に従えば、現在市場に出回っている顔料や充填剤のほとんどがナノマテリアルに当てはまる」と指摘。これらの添加物を一切使用しない工業製品はほとんどないため、着色された日常製品は実質的にすべてナノ原料を使用した製品になってしまうとして、定義の見直しを求めた。

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欧州委は同案をあくまでたたき台に過ぎないと強調、最終決定は専門家や業界関係者の意見を交えて行うとしている。

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