スキミング犯罪がドイツ国内で減少しているようだ。カード決済サービス会社Euro Kartensystemeの調査によると、今年1-9月期にスキマー(磁気情報読み取り装置)を取り付けられるなどのスキミング被害に遭ったキャッシュディスペンサー(ATM)は計700台で、前年同期(1,500台)の半分以下に減少した。被害額も半減したという。18日付『南ドイツ新聞』が報じた。
\Euro Kartensystemeの担当者によると、スキミング犯罪が減少した最大の理由はICチップ搭載のデビットカードが欧州全域で普及したことだ。ICカードは従来の磁気ストライプ式に比べ安全性が飛躍的に向上しており、データのコピーや偽造が極めて難しい。ほとんどのデビットカードは磁気ストライプを併用しているため、ここからデータを盗み出しカードを偽造することは可能なものの、ICカード対応ATMの設置が進む欧州域内で現金を引き出すことはほぼ不可能という。また、妨害電波を発してカードデータの読み取り・伝送をできなくするなど端末での攻防も功を奏した。
\こうした事情を受けて、偽造カードで現金が引き出される国・地域が変化。これまではイタリア、オランダ、ルーマニアなど欧州内が主だったが、現在は米国、ロシア、コロンビアなどICカード対応が遅れている欧州域外の国に移っている。
\また、スキミングの新たな標的としてドイツ鉄道(DB)の自動券売機やセルフサービス型のガソリンスタンド(セルフステーション)、小売店の決済端末が狙われ始めた。小売店や自動券売機では現金払いの客が大半のため、犯罪組織からみればスキミングの効率は低いものの、カード払いしか受け付けないセルフステーションは絶好のターゲットとなる。ドイツでこれまでスキミングの被害に遭ったセルフステーションは2カ所にとどまるが、Euro Kartensystemeの担当者は、「被害額は決して少なくない」と注意を呼びかけている。
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