世界の風力発電市場で中国の存在感が急速に高まっている。企業コンサルティング大手のローランド・ベルガーが28日発表した業界動向によると、中国で新規設置される風力発電装置の出力は10年の年13ギガワット(GW)から15年には18GW、20年には20GWへと拡大して世界全体の36%に達する見通し。一方、同国メーカーは国内市場シェアを大幅に拡大するなど着実に力をつけてきており、欧州メーカーが黙っていてもプロジェクトを受注できた時代は終わりを告げつつある。
\世界の風力発電市場は、財政難を理由とする各国の補助金削減などを背景に成長が鈍化し始めており、2000年代に毎年2ケタ台の伸びをみせていた成長率は10~15年に平均5%、15-20年には同4%に低下する見込み。特に陸上風力発電(オンショア)で伸び悩みが目立つ。他方、洋上風力発電(オフショア)は拡大が続いており、新規発電能力は10年の1.2GWから15年に4.4GW、20年には8GWに増加すると予想されている。
\中国では世界平均を上回る成長が続いており、それにつれてメーカーの技術力も上がっている。06年には中国市場で発電装置を供給する国内メーカーのシェアは31%に過ぎなかったが、10年には69%と2倍以上に拡大した。低価格を武器に欧米市場への進出も推し進めており、風力タービン向け鋳造部品では大手10社のうち6社、シェアにして3割を中国メーカーが占める。
\欧州メーカーは厳しいコスト競争にさらされている。ローランド・ベルガーの担当者は「中国をはじめとするアジアメーカーとの競争が激化する結果、ドイツ国内でも市場再編が進み、淘汰される企業も出てくる」との見解を示した。
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