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2011/11/30

経済産業情報

水素が室温・超高圧下で導体に、「室温超電導」の夢に一歩近づく

この記事の要約

水素に220万気圧という極めて高い圧力をかけると室温で半導体の性質を示すことを、マックス・プランク化学研究所(マインツ)の研究チームが発見した。さらに270万気圧まで高めると、半導体から導体(金属水素)に変化することもあ […]

水素に220万気圧という極めて高い圧力をかけると室温で半導体の性質を示すことを、マックス・プランク化学研究所(マインツ)の研究チームが発見した。さらに270万気圧まで高めると、半導体から導体(金属水素)に変化することもあわせて確認できたという。金属水素は室温での超電導が理論的に予言されており、物理学者の長年の夢である室温超電導に一歩近づいたとしている。

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水素は2つの原子が結合した分子として存在する。常温・常圧では気体、マイナス253度(20K)では液体、マイナス259度(14K)以下では固体となる。通常は三態のいずれでも電気を通さない絶縁体だが、木星の内部(400万気圧)のように極めて高い圧力下では電子の拘束が解かれて金属化(光沢を持つ、電気を通すなどの性質を持つ)することが知られている。

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「水素」と「金属」はイメージとして結び付きにくいが、実際にはリチウム、ナトリウム、カルシウム、セシウムなどのアルカリ金属同様に第一族元素に属しており、電子構造からみれば金属に非常に近い。

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マックス・プランク化学研究所のイヴァン・トロヤン氏とミハイル・エルメッツ氏は、木星のような超高圧下で水素がどう振る舞うかを調べる実験を実施した。室温(295K)で圧力を23万気圧まで上げたところ、水素は固体のように凝集したが、分子構造はそのままだった。圧力を220万気圧まで上げたところ、分子の構造が変化し始め、色が不透明になるとともに半導体としての性質が現れた。さらに270万気圧まで引き上げると、導電性がそれまでの1,000倍に急上昇し、金属化した。水素が金属化を起こす圧力は理論上400万気圧とされていたが、測定結果は理論値よりかなり低い数字だったと両氏は驚いている。

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研究の結果は『Nature Materials』に掲載された。

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