従業員数20人以上の企業で雇用主が新規採用や配置転換などの人事に関わる措置を行う場合、被用者の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の同意を得なければならない。これは事業所体制法(BetrVG)99条1項第1文に記された決まりである。では、被用者と雇用主が正面から衝突するストライキの際に雇用主がストに参加しない被用者を業務の穴埋め(スト破り)に投入する場合もこのルールが適用されるのであろうか。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)がこの問題をめぐる係争で13日に判決(訴訟番号:1 ABR 2/10)を下したのでここで取り上げてみる。
\裁判を起こしたのはケルン近郊のフレッヒェン市で食料品の卸売事業を手がける企業。同社では2007年6月11日から26日にかけて市内にある物流センターでストライキが行われた。雇用主はこれを受け、ストに参加する意思のない本社勤務の従業員を一時的に物流センターに投入。その際、本社の事業所委の承諾を受けておらず同委の批判を受けたため、同措置の法的な正当性の確認を求める訴訟を起こした。
\BAGはこの係争で、雇用主の措置はBetrVG99条の規定に抵触していないとの判断を示した。判決理由で裁判官は、スト破りに従業員を投入する場合も事業所委の同意を得なければならないとすると、労働争議に際しての労使の力のバランスが雇用主に不利な形で著しく損なわれると指摘した。
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