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2012/1/11

経済産業情報

燃料電池の反応をナノスケールで観察、性能向上に期待

この記事の要約

燃料電池内で起こる物理・化学的な反応過程を原子レベルで観察する技術の開発に、ハイデルベルク大学などの国際研究チームが成功した。開発されたのは、得られたデータを偏微分方程式によって解析・可視化する「電気化学歪み顕微鏡法」( […]

燃料電池内で起こる物理・化学的な反応過程を原子レベルで観察する技術の開発に、ハイデルベルク大学などの国際研究チームが成功した。開発されたのは、得られたデータを偏微分方程式によって解析・可視化する「電気化学歪み顕微鏡法」(ESM)という手法で、燃料電池の酸素還元反応や電極でのイオン交換反応などをサブナノメートルスケールで直接とらえることができるという。チームは今回の研究が燃料電池の性能向上や貴金属触媒の使用量低減につながると期待を寄せる。

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燃料電池の反応機構の研究はこれまで、マクロスケールでの観察がほとんどで、燃料電池の重要な反応である酸素還元反応や、触媒として使用される白金がどのように機能しているのかといった原子レベルでのメカニズムの解明はあまり進んでいない。このため、改良の手がかりがつかみにくく、燃料電池の最適化を進めるうえで大きなネックとなっている。

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こうした事情を踏まえ、ハイデルベルク大学、米オークリッジ国立研究所、ウクライナ大学の国際チームは燃料電池の反応を動的に観察できる新たな顕微鏡システムを開発した。今回の研究で厚さ50ナノメートルの白金触媒膜を観察したところ、必ずしも均質にイオン交換が起こっていないことなどを確認したという。研究の結果は『Nature Chemistry』に掲載された。

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