仏PIPが医療用と偽って工業用シリコンを使った違法な豊胸インプラントを製造していた事件をめぐり、同社の品質認証を手がけたテュフ・ラインラント(以下:テュフ)に批判の矛先が向けられている。国内では1月23日、被害を受けた女性がテュフや施術した医師などを相手取って損害賠償請求訴訟を起こした。これに対しテュフのマンフレート・バイヤーライン社長は「認証手続きは全て適切だった」として過失を全面的に否定。「PIPは組織的に偽装を行っていた」として、自らもPIPに欺かれたと怒りをあらわにした。
\テュフが担当していたのは、PIPの品質管理システム認証と医療用製品向けCEマーキングの適合性評価だ。品質管理システムは製品の品質保証体制を規定する規格であり、製品そのものの品質を保証するものではない。また、CEマーキングは、製品が適用される要求事項に適合していることを示すものとして製造者が自己の責任において貼付するもので、適合性評価はメーカーの提出した書類に基づいて行われる。調査は予告して実施され、抜き打ち調査は義務化されていない。
\テュフは1997年から2010年3月までPIP向けの業務を引き受けていたが、PIPが違法な製造を行っているとの内部情報を受けて認証を即座に取り消し、11年2月には刑事告発を行った。
\テュフの広報担当者によると、PIPは実際の製品の75%を違法なシリコンで製造していた。一方、同社が立ち入り調査を行った際には常に医療用のシリコンで製造された製品と書類を提出するなど、組織ぐるみで偽装行為を行っていたという。
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