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2012/2/8

経済産業情報

独玩具業界、外国人の子供はターゲット外?

この記事の要約

ドイツの玩具業界が、購入者層としてこれまで目を向けてこなかった移民系の子弟をターゲットとすることの重要性を理解し始めている。住民に占める移民(とその子供)の割合は2割に上り、潜在的な市場規模が極めて大きいためだ。ただ、文 […]

ドイツの玩具業界が、購入者層としてこれまで目を向けてこなかった移民系の子弟をターゲットとすることの重要性を理解し始めている。住民に占める移民(とその子供)の割合は2割に上り、潜在的な市場規模が極めて大きいためだ。ただ、文化的・経済的な背景からドイツ玩具に対する移民の関心は必ずしも高くないため、新たな顧客として開拓するのは容易ではない。1月31日付『南ドイツ新聞』が報じた。

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玩具に対する好みや考え方は国や地域によって大きく異なる。ドイツ人はレゴやプレイモービルのようにパーツやフィギュアをそろえて組み立てていくシステム玩具を好む。また、物持ちが良く、玩具を購入してから数年後まで使うことも珍しくない。

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一方、世界の多くの地域ではおもちゃは買ってからせいぜい数カ月で捨てられる運命で、壊れにくいか、長い間飽きずに遊べるかどうかは重視されていない。また、ドイツでは自然な色合いの木製玩具の人気が高いのに対し、南・東欧では極彩色のプラスチック製玩具が好まれる。さらに、ドイツではボード盤を使うゲームが絶大な人気を誇るが、印刷業界関係者によると、世界的にみると珍しいという。

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経済的な背景も無視できない。移民世帯の大半は低所得層に属し、高価なドイツの玩具を購入するゆとりがない。トルコ系の女性は「子供のころにドイツのおもちゃ専門店に連れて行ってもらったことは1度もない」と話す。また、「兄は (プラスチックの) 戦争玩具を買ってもらっていたが、どうしてドイツ人の親の多くがプラスチックのピストルや戦車を子供に買い与えようとしないのか、家族全員が不思議に思っていた」。

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移民をターゲットにした市場開拓ではこれらの点を考慮する必要があり、従来型の製品をそのまま売り込んでも需要の掘り起こしは期待できないようだ。

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