年に6週間以上、病気休業する社員がいる場合、雇用主は本人の同意を得たうえでどうすれば職場に復帰できるかを検討しなければならない。これは第Ⅸ社会法典84条2項の第1文に記されたルールで、「職場復帰マネジメント(Betriebliches Eingliederungsmanagement=bEM=)」と呼ばれる。また、同項第7文には雇用主がbEMの義務を履行しているかを事業所委員会(Betriebsrat)が監視しなければならないとも明記されている。この決まりに関する係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が7日に判決(訴訟番号:1 ABR 46/10)を下したので、ここで取り上げてみる。
\裁判を起こしたのは航空宇宙関連企業の事業所委員会。同社ではbEMの対象となる社員の記録一覧表を雇用主が四半期ごとに事業所委に渡す決まりとなっているが、雇用主は匿名を希望する社員については個人情報保護を理由に氏名を記載しなかった。
\事業所委はこれを不服として提訴し、BAGで勝訴した。判決理由で裁判官は、bEMの履行状況を監督する義務を事業所委が行うためにはどの社員が対象となっているかを把握する必要があると指摘。氏名の明記は個人情報保護法に抵触しないとの判断を示した。
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