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2012/4/4

総合 - ドイツ経済ニュース

介護保険法案を閣議了承、認知症患者ケアに照準

この記事の要約

連邦政府は3月28日の閣議で、介護保険改正法案を了承した。増加を続ける認知症高齢者に照準を合わせてケア体制を充実させることが狙いで、患者や家族の負担軽減のほか、介護認定を受けていない認知症患者にも援助の範囲を拡大する方向 […]

連邦政府は3月28日の閣議で、介護保険改正法案を了承した。増加を続ける認知症高齢者に照準を合わせてケア体制を充実させることが狙いで、患者や家族の負担軽減のほか、介護認定を受けていない認知症患者にも援助の範囲を拡大する方向だ。財源確保に向けては介護保険料率を13年から0.1ポイント引き上げ2.05%(子供がいない場合は2.35%)とする。これに伴う追加収入は11億ユーロを見込む。

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連邦保健省が作成した改革法案の主なポイントは◇要介護認定を受けていないが、医師の診断書で日常生活に支障があることが証明された認知症患者に対し、新たに月225ユーロのヘルパー利用費または120ユーロの介護手当(家族がケアに当たる場合)を支給する◇介護度I/IIの認知症患者については支給額を引き上げる◇ケアサービス利用では、支援の内容を認知症患者の病状に合わせて柔軟に選択できるようにする◇訪問介護では認知症患者の看護サービスを提供できるようになる――などとなっている。

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社会福祉団体は、改正案は「不十分」と批判的だ。キリスト教系の医療福祉団体カリタス連合会のネーヤー会長は、精神的疾患では要介護度が身体的疾患に比べて往々にして低く判定されていると指摘。要介護の基準を根本から見直さない限り認知症患者と家族が本当に必要とする支援は実現できないとの考えを示した。また、労組関係者は、認知症患者のケアサービスだけでも36億ユーロの費用が必要だとの試算を示したうえで、保険料率の引き上げだけではコストをカバーできないと批判した。

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