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2012/5/2

ゲシェフトフューラーの豆知識

同僚へのストーカー行為、事情次第では即時解雇可

この記事の要約

求愛は言葉や行為で表現しなければ相手に伝わらない。だが、相手が嫌がっているにもかかわらずそうした振る舞いを続けるとはストーカー行為となる。では、同僚に対しそうした行為を行った被用者にはどういう措置が妥当なのだろうか。最高 […]

求愛は言葉や行為で表現しなければ相手に伝わらない。だが、相手が嫌がっているにもかかわらずそうした振る舞いを続けるとはストーカー行為となる。では、同僚に対しそうした行為を行った被用者にはどういう措置が妥当なのだろうか。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)がこの問題に絡んだ係争で4月19日に判決(訴訟番号: 2 AZR 258/11)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは同僚へのストーカー行為を理由に即時解雇を通告されたヘッセン州の男性職員。同職員は2007年、女性同僚のAに対するストーカー行為を理由に、仕事でも私生活でもAと直接コンタクトを取らないよう注意を受けた。

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その後、派遣職員として勤務していた別の女性Bに対してもストーカー行為を繰り返し、プライバシーを侵害。Bが正規職員になることを妨害できるなどと述べ、交際を迫ることもあった。これを受けてBは2009年10月、雇用主のヘッセン州に事実関係を報告。州は調査を行ったうえで原告職員に即時解雇を通告した。原告はこれを不服として提訴した。

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第1審は原告の訴えを棄却。一方、第2審のヘッセン州労働裁判所は1審判決を破棄した。判決理由で同州労裁の裁判官は、雇用主が07年に与えた注意は、警告処分と異なり解雇の前段階の処分には当たらないと指摘。警告なしに即時解雇を行ったことは行き過ぎた処分だと言い渡した。

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最高裁のBAGは同判決を破棄した。注意が警告に当たらないとする第2審の判断は支持したものの、私的な接触を望まない同僚の意思を無視してプライバシーを侵害することは労働契約上の付随義務に違反すると指摘。事情次第では即時解雇に値するとの判断を示した。そのうえで、ヘッセン州労裁は事実関係の審理を十分に行わなかったとして、裁判のやり直しを命じた。

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