仕事や人材募集で差別を受けた人は損害賠償を請求できる。これは一般平等待遇法(AGG)15条2項に記されたルールである。書類審査で不採用とされた障害者などはこの条項を根拠にしばしば損賠訴訟を起こす。このため採用する側は訴訟リスクを恐れて2次選考へと通過させることを考えてしまうかもしれないが、明確な根拠があれば一次選考で不合格としても何ら問題はない。ここではシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所が昨年9月に下した判決(訴訟番号:L 9 U 211/09)に即してこの問題を取り上げる。
\裁判を起こしたのはキール市が2010年3月に募集した女性問題の調査主任職に応募し、書類選考で不合格となった重度の障害を持つ女性。大学で政治学と心理学、ドイツ語を専攻し、卒業後は市民大学で講師の調整役や指導を行ってきた。同女性は市が募集した職の資格を満たしているにも関わらず書類選考で振り落とされたのは障害者差別に当たるとして提訴した。
\第1審のキール労働裁判所は原告の訴えを棄却、第2審のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、キール市は管理職として2年以上の経験があることを募集資格としていたことなどを指摘。原告はこれらの条件を満たしていないと言い渡した。
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