製薬大手の独Merck(ダルムシュタット)がポルトガルでの研究開発プロジェクトの凍結を検討している。公立病院からの支払いが著しく滞っているためで、同社ポルトガル法人のフリッツ・ザッハー社長は経済紙『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』に対し、「ポルトガル国家の支払いモラルの低下は(研究投資の前提となる)相互信頼を掘り崩している」との見解を明らかにした。
\FTD紙によると、ポルトガルの公立病院に対する製薬業界の売掛債権は計15億ユーロを超える。また、請求書の発行から支払いが行われるまでの期間は平均550日に達するという。
\Merckは公立病院との取引に絡んでギリシャですでに苦い経験をしている。2007年から09年にかけての未回収の売掛金6,000万ユーロを2010年にギリシャ国債に交換する形で清算。同国債の価値は今年3月の債務整理で900万ユーロに低下したため、同社は大きな損失を被った。
\売掛金の回収はスペインとイタリアでも難しくなっているという。
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