企業年金の運営を外部の機関に全面委託する企業は多い。年金支払いに伴う将来の財務リスクを回避するためである。だが、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が6月19日に下した判決(訴訟番号:3 AZR 408/10)によると、こうしたリスク回避戦略は今後、見直さなければならないようだ。
\裁判を起こしたのはA社を2000年10月末に退職した元社員。同社では企業年金の運営を外部機関Bに委託していた。
\Bは年金運用が悪化したことを受け、2004~06年に企業年金支給額を1.4%削減、07年と08年についてもそれぞれ1.37%、1.34%引き下げた。原告はこれを受けてA社に対し企業年金の支給削減分を補てんすることを求め提訴した。
\第1審と第2審は原告勝訴を言い渡し、最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、雇用主は企業年金を直接的に運用していない場合でも、被用者に約束した年金支払いを履行しなければならないとした企業年金法(BetrAVG)1条1項第3文の規定を指摘。被告企業には企業年金支給額の削減分を補う義務があるとの判断を示した。
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