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2012/8/22

経済産業情報

Tennetに監督当局が調査のメス、海底送電網建設遅れで

この記事の要約

電力・通信・鉄道網などの監督機関である連邦ネットワーク庁(BNetzA)が、高圧送電網管理・運営会社のTennetに対する調査を開始した。送電ケーブル敷設の遅れで事業に支障が出かねないとする風力発電パーク運営事業者の苦情 […]

電力・通信・鉄道網などの監督機関である連邦ネットワーク庁(BNetzA)が、高圧送電網管理・運営会社のTennetに対する調査を開始した。送電ケーブル敷設の遅れで事業に支障が出かねないとする風力発電パーク運営事業者の苦情を受けた措置。発電パーク運営者が高圧送電網会社を対象に苦情申し立てを行ったのは今回が初めて。

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風力パーク運営大手のWindreichが苦情を申し立てた。同社は北海・ボルクム島の北94キロの沖合に2014年から建設予定のオフショアウィンドパーク「Deutsche Bucht」に参画している。

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Tennetはオランダ国営Tennet Holdingの独子会社で、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州からニーダーザクセン、ヘッセン、バイエルンの各州にまたがるエリアで事業認可を受けており、北海沖のウィンドパークと陸地を結ぶ海底ケーブルの整備・運営も義務づけられている。ただ、同社は現在、資金難に陥っており、Deutsche Bucht向け海底ケーブル敷設の無期延期をWindreichに通告。Windreichは「Tennetは高圧網運営者としての責務を果たしていない」としてBNetzAに苦情を申し立てた。

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BNetzAのヨッヘン・ホーマン長官は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に対し、「Tennetが事業認可の要件を満たしていないのは明らか」と述べたうえで、資金難の同社に制裁金を課しても根本的な解決にはならないと指摘。事業認可取り消しを示唆することで資金調達を促す考えを示した。

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業界関係者によると、北海に海底ケーブルを敷設するには計205億ユーロの費用がかかるが、Tennetがこれまでに調達したのは55億ユーロにとどまっている。オランダ政府はTennetへの支援を拒否しており、民間企業などから資金を得られなければ、2020年までに風力発電能力を計1万メガワットに引き上げるという政府目標は達成できない可能性が高い。

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