防汚効果のあるナノ表面構造を簡単に作成する方法を、イエナ大学材料科学研究所のトーマス・ケラー教授を中心とするチームが開発した。ブロック共重合体(性質の異なる2種類以上のポリマーが共有結合でつながった状態)が一定の条件でナノサイズのドメインに分離する「ミクロ相分離」と呼ばれる現象を利用するのがポイントで、鎖長の短い結晶性オリゴマーを用いることで10ナノメートルオーダーのパターン形成が可能という。
\優れた防汚・自浄効果を持つナノ表面構造の代表はハスの葉だ。ナノテクノロジーの分野でもこの効果を再現する表面構造の作成に高い関心が寄せられており、様々な材料が開発されている。ただ、ナノレベルの微細構造の作成で主に利用されているフォトリソグラフィーや電子線リソグラフィーといった手法はコストと手間がかかるという難点がある。イエナ大学の研究チームはこうした事情を踏まえ、ひとりでに秩序正しい構造やパターンを作る自己組織化を利用した表面構造の作成法開発に取り組んだ。
\チームは防汚効果を持ち、自己組織化の性質がある素材として、両親媒性高分子(疎水基と親水基が同一鎖状に共有結合した高分子)に注目した。代表的な両親媒性高分子は界面活性剤(洗浄剤)で、撥水剤などの表面処理剤としても使われている。チームは今回、結晶性のブロック共重合体であるポリエチレン-ポリエチレンオキシドブロック共重合体で実験を実施。ミクロ相分離を誘起し、横方向ラメラ状ドメイン配向を作ることに成功した。
\研究の成果は『Macromolecules』に掲載された。
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