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2012/9/26

経済産業情報

アディダスとのスポンサー契約、米名門大が打ち切りか

この記事の要約

スポーツ用品大手アディダスとのスポンサー契約を米名門コーネル大学が9月末で打ち切るもようだ。同社製品を受託生産していたインドネシアのメーカーが2010年に倒産した際、アディダスが元従業員への退職金支払いを拒否したことへの […]

スポーツ用品大手アディダスとのスポンサー契約を米名門コーネル大学が9月末で打ち切るもようだ。同社製品を受託生産していたインドネシアのメーカーが2010年に倒産した際、アディダスが元従業員への退職金支払いを拒否したことへの抗議としている。アディダスはこれに対し「非難には全く根拠がない」と強く反発している。コーネル大学長の書簡を入手した『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙が20日付で報じた。

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FTD紙によると、米国の大学ではスポーツ用品メーカーに対し企業の社会的責任(CSR)を求める傾向が強まっており、低賃金・長時間労働などを行う企業に対しては契約解除も辞さないという。プロリーグを除くと高校や大学のクラブがスポーツ活動の主体となっているため、有力なチームを持つ大学から契約を打ち切られると、スポーツ用品メーカーは大きなイメージダウンが避けられない。

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問題となっているのはインドネシアの受託生産メーカーPT Kizoneの倒産だ。同社はアディダスやナイキなどのライセンス生産を手がけていたが、経営者が2010年に逃亡したため閉鎖に追い込まれた。

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コーネル大は同年、工場従業員2,800人の退職金支払いを拒否したナイキに対しスポンサー契約解除を通告。ナイキがこれを受けて支払いに応じたため取引を再開したいきさつがある。一方、アディダスはこれまで退職金支払いに応じていないとして、今回の契約解除通告に踏み切った。

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アディダスの広報担当者はFTD紙に対し、同社は08年にPT Kizoneから契約を一方的に解除されており、工場閉鎖の時点で取引関係は一切なかったと指摘。また、生活に困ったPTの元従業員のために25万ドル分の食事券を工面したほか、1,200人の再就職を支援しており、コーネル大学の非難は全く当たらないと反論した。

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