ドイツ機械産業連盟(VDMA)は23日、加盟企業を対象に実施した国際競争力に関するアンケート調査の結果を発表し、独メーカーの先行きは欧州債務危機などの逆風にもかかわらず明るいとの見方を示した。業界全体の技術力の高さと産業立地競争力に自信を持っていることが大きい。トーマス・リントナー会長はこうした事情を踏まえ、競争力を阻害するような政策を取らないよう政府に注文を付けた。
\VDMAは国際競争力アンケート調査を2000年から4年おきに実施している。今回は4回目で、483社が回答した。
\総合的な競争力で競合する主なメーカーの国籍を問うた質問ではドイツとの回答が50%に達し、これまで同様、ダントツの1位となった(グラフ参照)。2位以下は米国(9%)、イタリア(9%)、日本(7%)の順で続く。中国は5%で6位にとどまったものの、2000年調査の0%からは大きく増加している。
\技術的な競争力で競合するメーカーの国籍についてもドイツとの回答が58%を占め、2位のイタリア(10%)を大きく引き離した。日本は7%で3位に入ったものの、08年の前回調査(9%)に比べ2ポイント低下している。また中国は1%にとどまっており、現時点ではほとんど脅威となっていない。
\一方、価格競争力で競合する企業の国籍に関しては中国との回答が前回の20%から24%へと拡大し、トップとなった。前回1位のドイツは23%から20%へと後退。米国と日本も競争力評価が下がった。中国は生産コストが急速に上昇しているにもかかわらず価格競争力で評価が上がったことについて、VDMAは製品の費用対効果が向上したためと分析している。
\自社を「世界最大手」と評価する企業は19%に達した。「世界トップ5社に入っている」と「上位グループ」もそれぞれ43%、26%と高く、「普通の企業」は11%にとどまった。ただ、前回調査に比べると「世界最大手」は6ポイント低下、「世界トップ5社」も4ポイント下がった。今回の調査には小規模企業が多く参加したほか、国際競争が厳しくなっていることが反映されたという。
\競争力強化に向けた課題については「未進出の地域市場の開拓」や「サービスの強化」「生産性の向上」を重視する企業が多い半面、「国外への生産移管」や「コストリーダーシップ」を重視する企業は比較的少なかった。
\リントナー会長はアンケート結果を説明した後で、ドイツのエネルギー政策に言及。再生可能エネルギーの拡充に伴い化学、鉄鋼などエネルギー集約型企業の負担を増やさないよう要請した。エネルギーコストが上昇するとこれらの企業は国外への生産移管を余儀なくされ、結果的に独製造の強みである総合的なサプライチェーン網とネットワーク構造が損なわれる、と認識しているためだ。
\