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2012/10/31

総合 - ドイツ経済ニュース

企業の事業見通しが大きく悪化、債務危機など受け投資見合わせに

この記事の要約

ドイツ企業の景況感が急速に悪化している。独商工会議所連合会(DIHK)が24日発表した会員企業秋季アンケート調査レポートによると、事業の現状や見通しを「良い」とする回答は軒並み減少。欧州債務危機の長期化が確実になっている […]

ドイツ企業の景況感が急速に悪化している。独商工会議所連合会(DIHK)が24日発表した会員企業秋季アンケート調査レポートによると、事業の現状や見通しを「良い」とする回答は軒並み減少。欧州債務危機の長期化が確実になっていることや、世界経済の減速が響いており、特に今後の見通しで悲観的な見方が強まった。ドイツ経済は内需主導で今年と来年も拡大する公算が高いものの、成長率は2010年の実質4.2%、11年の同3.0%を大きく下回る見通しだ。

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DIHKは毎年、年初と初夏、秋の3回、会員企業を対象に大規模な景気アンケート調査を行っており、今回は8月末から10月初旬にかけて実施。2万8,000社強から有効回答を得た。業種別の内訳は製造が30%、建設が6%、流通が23%、サービスが41%。

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事業の現状に関する質問では「良い」が前回調査(初夏)の42%から38%へと減少し、2回連続で落ち込んだ。投資財や化学メーカーで悪化が目立つ。ユーロ圏の顧客企業で工場稼働率が低迷しているほか、銀行融資を受けにくくなっていることが響いているようだ。一方、建設、飲食、旅行などのサービス産業は堅調な個人消費に支えられて、現状判断が改善した。

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今後1年間の事業の見通しに関しては「良い」が前回の25%から18%へと大幅に減少。「悪い」は14%から22%に増え、「良い」を4ポイント上回った。DIHKは景気低迷と欧州債務危機のほか、先進諸国の財政赤字、不動産バブルの後遺症、中東危機と尖閣問題もマイナス要因とみている。

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今後1年間の輸出見通しも「良い」が33%から27%に減少し、「悪い」は11%から20%へと倍増した。世界経済減速のほか、貿易障壁の増加や財務悪化国での融資環境の悪化、ユーロ相場の上昇が影を落としているようだ。食品、製薬、医療機器業界では輸出見通しが極めて良好という。

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製造業の投資計画でも「額を増やす」が前回の27%から23%に減少し、「減らす」は16%から20%に増加した。欧州債務危機などを受けて企業は投資をひとまず見合わせているもよう。独メーカーの投資需要自体は強いうえ、低金利で資金を調達しやすいこともあるため、財政悪化国の状況が安定すれば、再び活発化するという。

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「雇用規模を増やす」との回答は前回の20%から15%に減少した。ただ、「減らす」の14%をなお上回っており、DIHKは雇用規模が今年48万人、来年18万人拡大すると予想している。

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国内総生産(GDP)成長率については今年1.0%、来年0.7%を見込む。内需が景気を底支えし、景気後退入りは回避されるというのがDIHKの見方だ。

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