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2012/11/21

総合 - ドイツ経済ニュース

独GDP、プラス成長をかろうじて維持

この記事の要約

ドイツ経済の減速が一段と鮮明になってきた。景気の陰りが反映されるのはこれまで主に企業景況感などの先行指標に限られていたが、最近は景気の動きとほぼ同時期の変動を示す一致指標も悪化しており、第3四半期の国内総生産(GDP)は […]

ドイツ経済の減速が一段と鮮明になってきた。景気の陰りが反映されるのはこれまで主に企業景況感などの先行指標に限られていたが、最近は景気の動きとほぼ同時期の変動を示す一致指標も悪化しており、第3四半期の国内総生産(GDP)はゼロ成長に近づいた。大手企業の収益力も低下しており、投資・雇用の削減を検討する企業が増えている。

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ドイツ連邦統計局が15日発表した2012年第3四半期のGDPは物価・季節要因・営業日数調整後の実質で前期比0.2%増(速報値)となり、増加幅は第1四半期の0.5%、第2四半期の同0.3%を下回った。外需が相対的に好調だったため、かろうじてプラス成長を保った格好だ(下のグラフ1参照)。

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内需は政府最終消費支出と個人消費、建設投資が拡大したものの、設備投資と在庫調整が前期に引き続き後退。足を強く引っ張った。

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企業が設備投資を抑制する背景には、欧州債務危機を受けて景気の先行き不透明感が強まっていることがある。独企業の潜在的な投資需要は大きいものの、景気リスクが高く、見合わせざるを得ない状況だ。Ifoなど国内外の主要経済研究所は共同作成の『秋季経済予測』で、ドイツの設備投資額が今年は前年比で実質2.7%減少するとの見通しを示した。

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欧州統計局ユーロスタットが同日発表したユーロ圏の第3四半期GDPは前期比で実質0.1%減少。2期連続のマイナス成長となり、景気後退局面に入った。

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第3四半期には大手企業の収益力も低下した。コンサルティング大手アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)の調査レポートをもとに『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じたところによると、DAX(ドイツ株価指数)に採用された企業(ドイツ銀行など4社を除く26社ベース)の売上高営業利益率(EBITベース)は9.7%にとなり、前年同期の14.3%から4.6ポイント縮小した。売上高は11%増の2,950億ユーロに拡大したものの、EBITが37%減の162億ユーロへと大幅に後退したことが響いた。レポートをまとめたE&Yのパートナーは、収益力の低下を受けて企業のコスト削減圧力は高まるとの見方を示した。

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来年は企業の約3割が雇用削減

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IWドイツ経済研究所が国内企業2,300社(流通業を除く)を対象に今秋実施したアンケート調査では「事業の現状が悪化した」との回答が30%に達し、春の前回調査(18%)から大きく増加した。景気が大幅に好転する見通しは立っておらず、「2013年の投資額を縮小する」は27.9%に上り、「拡大する」の22.6%を5.3ポイント上回った(グラフ2を参照)。悪化が特に目立つのは中間財メーカーで、「縮小」は「拡大」よりも11.4ポイント多かった。これに投資財メーカー(同7.2ポイント)、建設(6.5ポイント)、消費財メーカー(5.5ポイント)、サービス(3.6ポイント)が続く。

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「雇用規模を縮小する」も27.7%に達し、「拡大する」(19.9%)を7.8ポイント上回った。国外需要の低迷を受けて減産を余儀なくされる企業が増えることが背景にある。

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人員削減の動きが強まると雇用不安が高まり、景気の支柱である個人消費が冷え込む恐れも出てくる。

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