欧州連合(EU)が打ち出した医療機器規制の強化方針に、ドイツのメーカーが反発している。業界団体BVMedは「規制を強化するより、規制を守っていない国に遵守させるほうがはるかに有効」と指摘。すでに法令遵守を徹底する独メーカーにとって、煩雑な手続きが増えることは産業拠点としてのドイツの魅力を失わせるだけと強く批判している。17日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
\規制強化の背景にあるのは、豊胸材メーカーの仏PIP(現在は倒産)が製造した違法な豊胸インプラントによって多くの女性が被害に遭ったことだ。EUはこれを受け、医療機器の認可などに関する指令を規則に格上げし、安全性の確保を図る方針を打ち出した。
\これに対し、BVMedのヨアヒム・シュミット会長は11日に開催した会議で「現行規制に不備はない。イタリアやフランスなど、規制要件を遵守して遂行しない国があることが根本的な問題だ」と指摘し、これらの国へのチェック体制を徹底する方が先決との考えを示した。
\ドイツの医療機器メーカーでは輸出が売り上げのほぼ3分の2を占める。世界の医療機器市場は好調に推移しており、年4~5%の成長が見込める一方、足元の国内市場では医療制度改革のしわ寄せで病院が投資を抑制しており、苦戦を余儀なくされている。医療機器メーカーAtmos(レンツキルヒ)のペーター・グライザー社長は「我々が長期的に競争力を維持するためには、地盤となる国内市場でも力を持ち続ける必要がある」と発言、EUの規制強化はただでさえ厳しい状況にある国内事業の足を引っ張るだけだと批判した。
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