繊維強化樹脂の成形に際して樹脂が型に接着するのを防ぐために用いる、離型剤に代わる離型フィルムをフラウンホーファー応用素材研究所(IFAM)が開発した。「FlexPLAS」と呼ばれる同フィルムは、非接着性のプラズマポリマーを大気圧プラズマコーティングで成形型内に直接成膜するもので、膜の厚さは0.1ミリメートル以下。膜には高い柔軟性・伸張性があり、複雑で入り組んだ形状の型でも簡単にはがすことができるという。
\樹脂成形用の離型剤は有毒なものが多く、樹脂表面からの除去・洗浄は作業員の健康に悪影響を及ぼす恐れがある。また、樹脂表面からの離型剤除去で主流の方法は手作業による研磨だ。研磨道具も一定の間隔をおいて洗浄する必要があるため、手間もコストもかかる問題があった。
\離型剤の代わりとなる離型フィルムはすでに市販化されているが、ほとんどの製品は非常に硬いため、深絞り成形型のように入り組んだ形の場合はうまく剥がすことができず、形状の単純な型でしか使えない難点がある。
\IFAMのチームはこうした事情を踏まえ、薄くて柔軟性が高く、複雑な形の型でもしわにならない離型フィルムの開発に着手。バイエル・マテリアルサイエンス傘下のコーティングフィルムメーカー、Epurex Filmsと共同でFlexPLASの製品化にこぎつけた。
\同製品は独強化プラスチック工業連合(AVK)が選定する今年のイノベーション賞を受賞した。
\