調査機関Prognosが発表した報告書によると、ドイツ国内の2020年の発電能力(保証出力ベース*)は79ギガワット(GW)となり、年間最大需要に対応するために必要な発電能力(87GW)を9%下回る見通しだ。再可エネ発電施設の増加に伴う卸電力取引価格の下落を受けて、老朽化した発電所に代わる新たな発電所を建設しても収益が見込めないとして発電事業者が投資を手控えていることが大きい。同報告書は電力の安定供給を確保するには発電能力の4分の3(59GW)を化石燃料発電でカバーする必要があるとして、石炭発電を冷遇する現行政策は深刻な電力不足を招きかねないと指摘した。
\同調査はPrognosが石炭輸入業界団体VDKiの委託を受けて実施したもので、発電能力不足は20年以降も続き25年には19GW、30年には27GW、40年には33GW、50年には42GWに拡大する。また、再可エネの出力不安定を補うのに必要な化石燃料発電の容量は2030年に52ギガワット、2050年に46GWとなり、20年の水準からはやや下がるものの、依然として発電能力全体の半分以上を占め重要な役割を果たす見込みだ。
\ \*保証出力(gesicherte Leistung):99%の確率で常時発電可能な能力。故障・点検などによる稼働停止、発電機が駆動に消費する電力なども差し引いて計算する。火力発電の場合で最大出力のおよそ90%、再生可能エネルギー発電の場合で同最大10%程度とされる。
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