民法典(BGB)613a条には、他社の事業を買収した企業は買収の時点で買収対象事業で有効だった被用者に対する権利と義務を継承しなければならないと明記されている。この条文についてはこのコラムで何度か紹介した。では、不動産管理会社の職員は管理対象の不動産を買収した企業に継続雇用される権利があるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が15日に判決を下したので、ここで取り上げてみる。
\裁判を起こしたのは独東部ザクセンアンハルト州のM市にある不動産を管理していたA社の元社員。管理対象の不動産はA社が所有していたが、A社の業務目的は同不動産の管理に限られていた。
\A社は2010年、同不動産をM市に売却し、その後に清算された。原告はこれを受け、M市にはBGB613a条の規定に基づき原告を継続雇用する義務があると主張。M市が拒否したため提訴した。
\原告は第1審と第2審で勝訴したものの、最終審のBAGは下級審判決を破棄した。判決理由で裁判官は、A社はもっぱら不動産の管理を目的とするサービス会社であったと指摘。M市は同社が管理していた不動産を取得したに過ぎず、原告を継続雇用する義務はないとの判断を示した。
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