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2012/12/5

経済産業情報

ウイルス使わずインフルワクチン作成

この記事の要約

タンパク質合成のための情報を持つRNA分子、メッセンジャーRNA(mRNA)をインフルエンザワクチンの作成に使用する技術を、フリードリッヒ・レフラー動物衛生連邦研究所(FLI)とバイオ企業CureVac(チュービンゲン) […]

タンパク質合成のための情報を持つRNA分子、メッセンジャーRNA(mRNA)をインフルエンザワクチンの作成に使用する技術を、フリードリッヒ・レフラー動物衛生連邦研究所(FLI)とバイオ企業CureVac(チュービンゲン)の共同研究チームが開発した。インフルエンザウイルスが持つ特定のたんぱく質を合成するようデザインされたmRNAを動物に注射し、免疫系がそのタンパク質に反応することで体内で抗体が作られる仕組み。mRNAワクチン合成に要する期間は6週間で、従来の手法の半分以下にとどまる。また、冷凍保存の必要がないため、輸送や管理の手間を大幅に軽減できる。

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インフルエンザワクチンは通常、ワクチン製造用のウイルスを鶏卵で培養して製造するが、この方法では出荷までに約6カ月かかるため、流行に対処できない難点がある。

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FLIとCureVacのチームはこの問題を解決するカギとしてmRNAに注目した。mRNAはDNAから写し取られた遺伝情報に従い、タンパク質を合成する設計図の役目を果たす。

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チームはH1N1pdm09豚インフルエンザ、H5N1鳥インフルエンザなどを含むA型インフルエンザウイルス数種類を対象に実験を実施。マウスでの実験では平均年齢の個体だけでなく、非常に若い個体と高齢の個体でも予防効果を確認した。また、ヒトにより近いフェレットや豚でも効果がみられたことから、ヒトへの応用に期待が持てるという。

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