ドイツ企業が売り手、買い手あるいは取引対象として関与したM&A(企業の合併・買収)の件数は昨年1,340件となり、前年から1%増加した。取引の合計金額は同28%増の1,400億ユーロで、増加幅は件数を大きく上回った(グラフ参照)。調査会社M&Aインターナショナルのデータをもとに『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が12月27日付で報じた。
\取引規模が最も大きかったのは自動車大手フォルクスワーゲン(VW)による高級車メーカーPorsche AGの買収で、57億1,000万ユーロに上った。また、ソフト大手SAPは米同業2社を買収。買収金額は合わせて58億8,500万ユーロに達した。(表参照)
\FAZ紙は2012年の特徴として(1)プライベート・エクイティ(PE)ファンドが買収活動を再び活発化させた(2)中国企業のドイツ企業買収が本格化し始めた――の2点を挙げた。PEによる買収が目立ってきたのは、リーマンショックを受けて買収資金の提供を控えていた銀行が再び融資に前向きになってきたためで、米PE・Adventによる独小売大手Douglasの買収は取引規模別のランキングで9位に付けた。
\中国企業がドイツ企業を買収する場合、これまでは経営が悪化した企業が対象となるケースがほとんどだった。今年は経営基盤の安定した世界的な建機2社(プツマイスター、シュヴィング)や有力自動車部品メーカーKiekertが中国企業の傘下に入った。
\専門家はドイツのM&A市場が2013年も好調を保つとみている。ティッセンクルップやシーメンスなどの大手企業が事業の放出を計画しているほか、ドイツ企業を保有するPEの間で放出の機会をうかがう動きが強まっているためだ。
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