ドイツ連邦統計局が15日発表した2012年の国内総生産(GDP)は物価調整後の実質で前年比0.7%増にとどまり、増加幅は11年(3.0%)の4分の1以下に縮小した(グラフ参照)。欧州債務危機と世界経済減速の影響が大きく、営業日数が前年よりも3日少なかったことも響いた。特に下半期は減速が鮮明となり、第4四半期には成長率がマイナス0.5%へと大きく悪化した。
\12年のドイツ経済をけん引したのは外需で、輸出成長率は4.1%に達した(表参照)。前年(同7.8%)に比べると成長率は鈍ったものの、輸入の伸び率が7.4%から2.3%へと大きく落ち込んだため、GDP成長率に対する外需(輸出-輸入)の寄与度は前年の0.6ポイントから1.1ポイントへとほぼ倍増した。
\一方、内需の寄与度はマイナス0.3ポイントと、前年のプラス2.4ポイントから悪化した。個人消費(前年比0.8%増)と政府支出(同1.0%増)はこれまで同様に拡大したものの、過去2年間好調だった設備投資と建設投資の変動率はそれぞれ前年のプラス7.0%からマイナス4.4%、プラス5.8%からマイナス1.1%へと大きく落ち込んだ。景気の先行き不透明感を受けて企業が投資を見合わせていることが響いた格好だ。国内総固定資本形成(投資)は前年を2.1%下回り、3年ぶりに減少へと転じた。
\ドイツのGDP成長率はリーマンショックの影響で09年にマイナス5.1%となり、戦後最悪の落ち込みとなったものの、10年には輸出と企業投資、個人消費が急速に回復し成長率はプラス4.2%へと達した。11年も好調に推移したものの、ここにきて回復にブレーキがかかった格好だ。統計局のローデリヒ・エーゲラー局長は、10年と11年の成長率が高かった背景には急落したGDPの回復局面だったという事情もあると指摘したうえで、ドイツ経済は12年も厳しい環境への免疫力を示したとの見方を示した。
\ \財政赤字の新ルール、連邦は4年前倒しで達成
\ \12年は成長率が大幅に鈍ったにもかかわらず、連邦と地方、社会保険機関を合わせた国全体の財政収支は22億ユーロの黒字となった。黒字計上は5年ぶりで、財政黒字の対GDP比率は0.1%となった。雇用の拡大を背景に税収と社会保険料収入が増加。市町村と社会保険機関は黒字を計上した。連邦は225億ユーロの赤字を計上したものの、新規債務の対GDP比率は0.32%へと低下し、2016年までに0.35%以下へと引き下げることを義務づけた憲法(基本法)の新ルール(Schuldenbremse)を4年前倒しで達成した。
\2013年のGDP成長率については慎重な見方が強い。企業景況感の改善やユーロに加盟する重債務国の国債利回り低下といったプラス材料はあるものの、欧州債務危機の火種は消えず先行き不透明感がなお強いためで、政府は16日の閣議で同年の成長率予測を従来の1.0%から0.4%へと引き下げる予定だ。
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