大手化粧品メーカーが男性用化粧品事業に力を入れている。女性用化粧品に比べ市場規模ははるかに小さいものの、飽和状態にある化粧品市場の中で成長が見込める数少ない分野となっているためだ。メーカーは男性の関心を引くようなパッケージデザインを採用。独Reweや英Tescoなどの小売大手も、男性の購買行動に合わせて商品の陳列・配置を工夫するなど、試行錯誤を続けている。『ヴェルト』紙が報じた。
\消費財調査会社Euromonitorによると、女性用ボディケア用品の2012年の世界売上高は1,515億ユーロに上った。男性用ボディケア用品は同144億ユーロと、女性用の10分の1以下に過ぎない。ただ、先進国では男性用のシェアが高めで、仏ロレアルによると、男性用ボディケア用品の11年ドイツ売上高は17億ユーロで、ボディケア市場全体の14%を占めた。また、女性用・男女兼用品に比べ2倍の伸びを記録したという。
\独コスメティック製品大手のバイヤスドルフが実施したアンケート調査によると、ボティケアに気を使う理由として「見た目を良くしてオフィスでライバルに差をつけたい」を挙げた男性は全体の90%、「パートナーにもっと気に入られたい」は77%に上った。ロレアルの担当者は「手入れが行き届いてきれいな自分の姿を鏡で見れば気分が高まり元気になる。女性なら誰もが知っているこうした化粧の効果に、男性も気づきだしたようだ」と話す。
\ドイツ人男性がボディケア用品に支出する額は月額24ユーロ。韓国人男性は47ユーロとドイツの2倍に上る。ロシア人男性は同2ユーロと少ないものの、ロシアを含む東欧地域ではアフターシェーブローションの人気は高い。「膝をすりむいたときに塗る軟膏のように肌にしみる」製品として好評という。市場関係者は、バイヤスドルフがロシアのプロアイスホッケーリーグやブラジルのバレーボールリーグのスポンサーになっているのも、そうした消費者の好みを踏まえた戦略と指摘する。
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