欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2013/1/16

ゲシェフトフューラーの豆知識

派遣社員の長期派遣、派遣先との間に雇用関係発生へ=高裁

この記事の要約

派遣社員の派遣期間は一時的でなければならない。これは2011年に改正された労働者派遣法(AUEG)1条1項第2文に記されたルールである。では、派遣期間が長期化した場合はどうなるのだろうか。この問題をめぐる係争でベルリン・ […]

派遣社員の派遣期間は一時的でなければならない。これは2011年に改正された労働者派遣法(AUEG)1条1項第2文に記されたルールである。では、派遣期間が長期化した場合はどうなるのだろうか。この問題をめぐる係争でベルリン・ブランデンブルク州労働裁判所が9日に判決(訴訟番号:15 Sa 1635/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

\

裁判を起こしたのは派遣社員として病院で勤務する介護職員。同病院ではグループ内の派遣会社から介護職員を派遣させて働かせていた。原告は被告病院での勤務期間が長期化したことを受けて正社員として採用することを要求(判決文がまだ公表されていないため、勤務期間がどの程度になっていたかは不明)。被告がこれを拒否したため提訴した。

\

ベルリン・ブランデンブルク州労裁第15法廷はこの裁判で、原告勝訴を言い渡した。判決理由で裁判官は、被告病院での原告の勤務期間は長期にわたっているとして、派遣社員の派遣期間は一時的でなければならないとしたAUEG1条1項第2文への抵触を認定。被告病院への原告の派遣を認めた当局の承認はこれにより無効になったとして、当局の承認のない人材派遣では派遣社員と派遣先企業の間に雇用関係が発生するとしたAUEG10条1項の規定を根拠に、被告には原告を正規採用する義務があるとの判断を示した。

\

この問題では判例が確定しておらず、裁判官は最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告を認めた。

\