エネルギー大手の独Eon(デュッセルドルフ)は1月30日の2012年暫定決算発表で、欧州における同社の発電能力を削減する方針を明らかにした。ドイツの再生可能エネルギー優先政策を受けてガス発電の採算が悪化しているほか、欧州財務危機を背景に南欧諸国の電力需要が鈍り電力の卸値が大幅に低下したことに対応する狙い。
\2015年までに発電能力を最大11ギガワット圧縮する。これは原発11基分の発電能力に相当する量という。
\2012年の最終利益は約45億ユーロで、前年の25億ユーロから大幅に拡大した。増益要因としてとしては◇天然ガスのスポット価格下落を受けて露ガスプロムから調達する天然ガスの契約価格を引き下げた◇比較対象の11年はドイツの原発廃止前倒しを受けて利益が圧迫されており、今年はその反動が出た◇事業の大幅整理と債務圧縮に取り組んだことで減損費と利払い費が低下した――があり、営業利益(EBITDAベース)も前年比16%増の108億ユーロに拡大した。
\今年は最終利益が22億~26億ユーロ、EBITDAが92億~98億ユーロに減少すると予想している。12年と異なり増益につながる特殊要因がないほか、電力卸価格と発電所稼働率の低下が響くという。同社は競争力の強化に向けて今後、分散型エネルギー・再可エネへの投資、ロシアやトルコなど欧州域外の市場開拓を加速させる意向だ。
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