独連邦議会(下院)は2月28日、金融商品の自動売買規制法案を可決した。同法案はコンピューターを利用した自動売買が取引所の売買システムに過度の負担をもたらすとともに、金融市場の不安定化も助長していることを踏まえ、これまで野放し状態にあった同売買に制限を設けることが狙い。今後、州政府の代表からなる連邦参議院(上院)で審議されるものの、上院の承認を必要としないため、同院が両院協議会に持ち込まなければ無修正で成立する。欧州連合(EU)加盟国で自動売買を規制するのはドイツが初めて。
\自動売買はプログラムにあらかじめ設定した条件に基づいてコンピューターが行う金融商品の取引で、瞬時に大量の売買を実行できる。この結果、取引所のシステムが機能障害を起こすほか、株価などが大きく乱高下する恐れがある。米主要株価指数ダウ・ジョーンズでは2010年5月、わずか数秒内に指数が数百ポイント急落。実体経済とは無関係に数千億ドル規模の価値が失われた。
\法案はEUの金融商品市場指令(MiFID)改正方針をおおむね踏まえた内容で、自動売買を行う市場参加者は免許取得を義務づけられ、連邦金融監督庁(BaFin)の監督下に置かれる。これにより、どの市場参加者がどのような行為を行ったかがすべて明らかになるため、問題が起きた場合に原因を明確に把握できるようになる。
\また、スキャルピングなどの市場を混乱させる取引手法は禁止される。さらに取引所は市場に不自然な動きがあった場合はシステムの運用を一時停止することを義務づけられる。
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