従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)には、就業・休憩時間および各週の労働時間の割り振りを雇用主と共同で決定する権利がある。これは事業所体制法(BetrVG87条1項2)に明記されたルールである。では、事業所委との合意が成立していない時点で雇用主が労働時間の割り振り計画案を社員に公表することは同委の共同決定権の侵害に当たるのだろうか。この問題をめぐる係争でベルリン・ブランデンブルク州労働裁判所が昨年12月に決定(訴訟番号:6 TaBV 880/12)を下したので、ここで取り上げてみる。
\被告企業は2011年6月末に、7月4~7日の勤務計画案を社内の掲示板で公表した。同案は事業所委員会の承認を得ていなかったため、文面には「事業所委員会の承認が得られれば」という但し書きを付けられていた。
\被告は同年10月と11月にも同様の行為を実施。但し書きとして「この計画は情報提供を目的として公開します。現時点で事業所委員会から承認されていません」と記した。
\原告の事業所委はこれらの行為により勤務計画案が社員に既成の事実と受け止められ、共同決定権が侵害されたと主張。今後はこうした措置を取れなくする目的で差し止め訴訟を起こした。
\第1審のベルリン労働裁判所は原告の訴えを棄却。第2審のベルリン・ブランデンブルク州労裁も1審決定を支持した。判決理由で裁判官は、被告は従業員が余暇の計画を立てやすくする目的で情報を提供したに過ぎないと指摘。事業所委の共同決定権はこれらの行為により侵害されないと言い渡した。
\ただ、事業所委の同意がないにもかかわらず、勤務計画案が実施された場合は、共同決定権の侵害に当たるとの判断を示した。
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