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2013/4/17

経済産業情報

ローカルループ独占、条件つき認可の方向

この記事の要約

電力・通信・鉄道網などの監督機関である連邦ネットワーク庁(BNetzA)は、ドイツテレコム(以下:テレコム)が保有する超高速通信網(VDSL2ベクタリング)の独占を制限つきで認める方向だ。同庁が9日発表した提言書によると […]

電力・通信・鉄道網などの監督機関である連邦ネットワーク庁(BNetzA)は、ドイツテレコム(以下:テレコム)が保有する超高速通信網(VDSL2ベクタリング)の独占を制限つきで認める方向だ。同庁が9日発表した提言書によると、テレコムは今後も競合へのローカルループ(加入者宅と最寄りの電話局を接続している電話回線)開放を原則として義務づけられるものの、競合が自前の回線で高速インターネットサービスを提供している地域では、一定の条件下で競合によるアクセスを拒否できる。

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VDSL2ベクタリングは通信機器大手アルカテル・ルーセントが開発した次世代超高速通信技術で、VDSLの改良版。既存のメタル回線(銅線)を使用したままで、自宅まで直接光ケーブルを引き込んだ場合に匹敵する50~100メガビット/秒の通信速度を実現する。ただ、同技術はVDSL網の特定のポイントに複数の通信事業者がアクセスしていると機能しないという技術的制約がある。

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テレコムは低価格で超高速通信サービスを提供するCATV会社との競争で苦戦しており、回線を独占することで競合から顧客を奪回したい考え。このため、VDSL2アクセスポイント開放を制限する方向でBNetzAに打診していた。

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BNetzAの提言書によると、競合が自前の高速ブロードバンドを敷設していない地域、ないし競合が自前で光ケーブルを敷設しているもののローカルループだけは借り受けている場合では、テレコムは従来通り競合へのアクセスポイント開放を義務づけられる。一方、競合が自前の回線を敷設している地域では、テレコムが◇当該の競合よりも多くのローカルループを開放している◇ビットストリームアクセスなどDSLの代替手段を提供している――ことを条件に、競合へのアクセスポイント開放を拒否できる。また、ローカルループを借り受けている競合も2017年までに自前でVDSL2インフラを敷設することが求められる。

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BNetzAは今回の提言をあくまでもたたき台としている。今月24日に公聴会を開催するほか、来月10日まで関係者の意見募集を行い最終提案を行う方針だ。

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