ドイツの港湾業界が、洋上風力発電(オフショアウィンドパーク)の市場拡大に伴う設備の運搬・積み込み需要に大きな期待をかけている。欧州債務危機を受けて物流需要が後退しているうえ、ロッテルダムやアントワープなどの競合港との激しい競争にもさらされているためだ。ただ、専門家は過剰な期待は禁物とクギを刺す。24日付『ヴェルト』紙が報じた。
\オフショアウィンドパーク設備は概して大型で、重量もある。例えば、土台となる三脚は高さが最大60メートルで、重さは900トンに達する。ブレーマーハーフェン港を運営するBLGは、クレーンを使わずに三脚を運搬できるよう、自走式モジュラートランスポーター(SPMT)を導入したほか、港湾岸壁の補強工事も行った。SPMTは1両25万ユーロと高価で、三脚1台を運ぶのに3両が必要となる。
\こうした投資は回収できないリスクもある。これまでに認可を受けた国内28件のオフショアウィンドパーク計画うち、送電網への接続が完了したものは3件で、建設中のものも7件にとどまるためだ。資金確保や技術上のトラブル、ウィンドパークと陸地を結ぶ高圧送電網の不足などから、多くのプロジェクトで足踏みが続くという事情は追い打ちをかける。
\また、プロジェクトごとに運ぶ資材や運搬・積み込みの条件が大きく異なるなど個別の対応が必要なため、スケールメリットを生かしにくくコストを下げることは難しい。さらに、オフショアパーク向け輸送はかなり特殊な市場のため、競争に生き残れるのは「多くて数社」と専門家はみている。
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