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2013/6/26

総合 - ドイツ経済ニュース

ボーダフォンが独CATV最大手にTOB

この記事の要約

移動通信サービス大手の英ボーダフォンは24日、独ケーブルテレビ(CATV)最大手のKabel Deutschland(KD)に対する株式公開買い付け(TOB)計画を発表した。KDに対しては米CATV大手のリバティ・グロー […]

移動通信サービス大手の英ボーダフォンは24日、独ケーブルテレビ(CATV)最大手のKabel Deutschland(KD)に対する株式公開買い付け(TOB)計画を発表した。KDに対しては米CATV大手のリバティ・グローバルも買収の意向を示しているものの、KDの経営陣はボーダフォンのTOBを受け入れるよう株主に呼びかけた。ボーダフォンはKD買収に成功すると、固定網通話とインターネット接続サービス、ケーブルテレビの分野で事業基盤を大幅に拡大。独電気通信市場最大手のドイツテレコムに総合的に立ち合えるプレイヤーとなりそうだ。

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買収総額は債務も含めて107億ユーロで、1株当たり87ユーロとなる。メディア報道によると、リバティの提示額は約85ユーロにとどまっており、同社が今後、条件を引き上げるかが注目されている。ボーダフォンはKD株75%以上の確保をTOB成立の条件としている。

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KDはCATV顧客数が850万人、ブロードバンドインターネット顧客数が174万人に上る(第1四半期現在)。ボーダフォンはそれぞれ17万人、314万人で、買収が実現するとTV顧客数は急増。ブロードバンドインターネット顧客数も約500万人へと拡大する(ドイツテレコムはそれぞれ200万人、1,244万人)。

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これまで手薄だったテレビとネットサービス分野で事業を拡大できるメリットは大きい。市場では移動通信と固定網通話、ネット接続サービスを一手に提供するトリプルプレイヤーの需要が拡大しているためだ。

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KDが通信速度の速いCATVを運営していることもボーダフォンにとってプラス材料となる。ボーダフォンはこれまで、ドイツテレコムの通信回線(ラストマイル)を借り受けて顧客にネット接続サービスを提供してきたが、今後はKDのCATV回線を利用できるようになるため、ドイツテレコムに支払う回線手数料が従来の年5億ユーロから大幅に低下するためだ。同分野のシナジー効果を3億ユーロ超と見積もっている。

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ボーダフォンは独移動通信サービス市場では最大手のドイツテレコムとトップの座を争い続けてきた。KDを買収すると、移動通信データの一部をアクセスポイントを介してケーブル通信網に振り向け、移動通信サービスの質を改善する効果も見込める。KDのアドリアン・フォンハンマーシュタイン社長は「移動通信のデータ量は今後、爆発的に拡大する」と述べ、ボーダフォンによる買収の戦略的な意義を強調した。

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メディア報道によると、リバティはKD買収を断念していないもようだ。ただ、同社はドイツですでにCATV会社を2社(Unity MediaとKabel BW)傘下に収めており、カルテル当局は強い難色を示すと予想される。

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