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2013/12/4

ゲシェフトフューラーの豆知識

学位喪失の社員、解雇は可能か

この記事の要約

ドイツでは学位がものを言う。だから博士号を取得していれば、名刺にはもちろんだが、表札にも明記する人が少なくない。では、仮に学位を被用者が喪失した場合、雇用主はそれを理由に解雇できるのだろうか。この問題をめぐる係争で、デュ […]

ドイツでは学位がものを言う。だから博士号を取得していれば、名刺にはもちろんだが、表札にも明記する人が少なくない。では、仮に学位を被用者が喪失した場合、雇用主はそれを理由に解雇できるのだろうか。この問題をめぐる係争で、デュッセルドフル州労働裁判所が判断を示したので、ここで取り上げてみる(訴訟番号:2 Sa 950/13)。

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裁判は機械メーカーの法務部長が同社を相手取って起こしたもの。同部長は2005年、米国の私立大学で博士号の学位を取得した。だが、これについて同社とノルトライン・ヴェストファーレン州科学省に匿名の訴えがあり、同省はこれを理由に博士号の名称を用いることを禁止した(禁止命令の前に調査を行ったと思われるが、これについては情報が公表されていない)。

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同禁止命令を受けて、被告企業は2013年3月4日付の文書で、同部長に即時解雇を通告した。学歴詐称で重大な契約違反と判断したためである。

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同部長はこれを不当として提訴し、第1審で勝訴。2審のデュッセルドフル州労裁も審理のなかで、原告は博士号が無効であることを知らなかったとして悪意はなかったと認定し、解雇は不当との判断を示した。原告と被告は最終的に和解したため、判決は下していない。

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