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2013/12/18

経済産業情報

香料ぺリオトロピンは「天然」か「合成」かで対立、裁判へ

この記事の要約

独商品テスト財団Stiftung Warentest(SW)が実施したヘーゼルナッツチョコレートの試売検査で、Ritter Sport社の製品が「合成香料を使用しているのに天然香料と表示していた」として「不合格」の評価を […]

独商品テスト財団Stiftung Warentest(SW)が実施したヘーゼルナッツチョコレートの試売検査で、Ritter Sport社の製品が「合成香料を使用しているのに天然香料と表示していた」として「不合格」の評価を受けたことをめぐり、Ritterおよび同社に香料を供給するシムライズがSWを批判している。シムライズらは「香料は天然製品」としてSWに評価の取り下げを要求。これに対しSW側は、試験結果は正しいとして撤回を拒否している。

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両者の対立のきっかけとなったのはSWの商品テスト誌『Test』最新号(11月22日発売)に掲載されたヘーゼルナッツチョコレート試買検査のレポートだ。同検査でRitterのチョコレートは、香り、品質、味などで高い評価を得たものの、「製品表示」の項で、「化学合成された香料(成分:ぺリオトロピン)を使っているにもかかわらず天然香料を使っていると表示しており、消費者を混乱させる紛らわしい表示だ」とされ、総合評価で不合格の烙印を押された。SWは他の項目が良くても製品表示が事実と異なる製品を「不合格」とすることが多く、09年に実施したバニラアイスの試買検査でも、香料に合成バニリンが使われているにもかかわらずその事実を正しく表示していない20製品のうち8製品を不合格とした。

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ただ、今回のSWの評価はRitterとシムライズとって寝耳に水だった。両社はTest誌の発売直後、「Ritterのチョコレートに添加されているペニオトロピンは欧州連合(EU)で認められている製法で植物から抽出した天然香料だ。製品表示に誤りはない」と反論。合成香料とするSWの主張の差し止めを求めてミュンヘン地方裁判所に仮処分を申請した。当該のペリオトロピンが天然か合成かの判断は裁判所が下す。

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SWの広報担当者は、「ペリオトロピンを植物から分離・抽出する方法は知られておらず、あったとしても極めて高コスト」と述べ、量産品のチョコレートに利用することは現実的にあり得ないと指摘したうえで、「同物質は化学合成品でも天然物と何ら変わりなく、使うことに問題はない。我々が求めているのは正しい表示であり、Ritterが単に香料とパッケージに表記していれば、我々は問題にしなかった」との立場を示した。

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