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2014/1/29

ゲシェフトフューラーの豆知識

給与の一部を企業年金に振り替えるルールで最高裁判決

この記事の要約

被用者は給与の一部を企業年金の保険料に振り返るよう雇用主に要求することができる。これは企業年金法(BetrAVG)1a条1項第1文に記されたルールである。では雇用主にはこのルールの存在を被用者に伝える義務があるのだろうか […]

被用者は給与の一部を企業年金の保険料に振り返るよう雇用主に要求することができる。これは企業年金法(BetrAVG)1a条1項第1文に記されたルールである。では雇用主にはこのルールの存在を被用者に伝える義務があるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が21日に判決を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判は被告企業を2010年6月末付で退職した元社員が起こしたもの。同社員は、雇用主には給与の一部を企業年金の保険料に振り返ることができるルールを被用者に知らせる義務があるにもかかわらず、被告はこの義務を怠ったと主張。そのうえで、同ルールを知っていれば給与の一部(月215ユーロ)をダイレクト保険(Direktversicherung=生命保険型の企業年金=)に投入できたとして、総額1万4,380.38ユーロの損賠支払いを被告に要求した。

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原告は1、2審で敗訴。最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、同ルールの存在を雇用主が被用者に通知する義務はBetrAVG1a条からも、配慮義務(Fuersorgepflicht)からも発生しないとの判断を示した。

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■■ 今回問題となったルールは2002年1月1日付の法改正で施行された。このため、同ルールの存在を被用者に伝える義務が雇用主にあるかどうかは判例が定まっていなかった。

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