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2014/3/5

ゲシェフトフューラーの豆知識

更生手続き適用企業の解雇予告期間で最高裁判決

この記事の要約

会社更生手続きが適用された企業の管財人は被用者を解雇できる。これは倒産法(InsO)113条第1文に記されたルールであり、同第2文には解雇予告期間を最大3カ月とする規定がある。 一方、他の法律や労使協定、労働契約の定めに […]

会社更生手続きが適用された企業の管財人は被用者を解雇できる。これは倒産法(InsO)113条第1文に記されたルールであり、同第2文には解雇予告期間を最大3カ月とする規定がある。

一方、他の法律や労使協定、労働契約の定めにより、解雇予告期間が3カ月を超える被用者は少なくない。

では、解雇予告期間が本来3カ月超であるにもかかわらず、InsO113条に基づき3カ月の予告期間で解雇通告を受けた被用者はこれを不当として本来の解雇予告期間の適用を要求できるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が2月27日に判決(訴訟番号: 6 AZR 301/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は2009年9月1日付で会社更生手続きが適用された通販会社で調達業務に従事していた女性社員が管財人を相手取って起こしたもの。管財人はInsO113条の規定に基づき、原告に3カ月の予告期間を設けて10年5月末付の解雇を通告した。原告の労働契約を適用すると、解雇日は同6月末だった。

原告は当時、育児休暇を取得していた。解雇されると公的健康保険料の納入免除措置を受けられなくなることから、解雇日を労働契約に従って6月末とすることを要求し提訴した。

1、2審は原告敗訴を言い渡し、最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、解雇予告期間を最大3カ月とするInsO113条の規定は他の法律の規定や労働契約の取り決めを考慮することなく適用できると指摘。管財人には解雇に伴い被用者が社会保険上の不利益を被ることを斟酌する義務はないとの判断を示した。

そのうえで、原告はInsO113条第3文の規定に基づき、早期解雇に伴う不利益の補償を管財人に請求できると言い渡した。