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2014/3/26

経済産業情報

自動車産業が軽量化技術市場の拡大に期待

この記事の要約

自動車メーカーと部品メーカーが、軽量素材の開発に力を入れている。運転支援システムなど安全性や快適性を高める部品が増えて車両が重くなっているためだ。低燃費化、低公害化への関心の高まりを追い風に軽量部品市場は確実な成長が見込 […]

自動車メーカーと部品メーカーが、軽量素材の開発に力を入れている。運転支援システムなど安全性や快適性を高める部品が増えて車両が重くなっているためだ。低燃費化、低公害化への関心の高まりを追い風に軽量部品市場は確実な成長が見込めるため、メーカーは大きな期待を寄せる。ただ、軽量素材は従来部品より割高になるため、搭載は今のところ高級モデルに限られる。思うように市場のすそ野が広がらず苦心するメーカーもある。24日付『フランクフルター・アルゲマイネ』が報じた。

企業コンサルティング大手マッキンゼーの試算によると、電子制御機器などの部品による重量増を相殺するには、車両の軽量素材の比率を現在の30%から30年までに70%へと引き上げる必要がある。

高級車メーカーのBMWは先ごろ発売した電気自動車「i3」で軽量素材を多用。車体に炭素繊維複合材料(CFRP)、車台にアルミニウムを使用することで車両重量を1,195キログラムに抑えることに成功した。

独産業設備メーカーのディーフェンバッハーも軽量素材に高い関心を向ける。同社のヴォルフゲルト・ディーフェンバッハー社長によると、特に将来性が高いのはCFRPで、生産技術開発に向け数千万ユーロを投資した。最初の「大型受注」はBMWからで、繊維強化樹脂生産ライン(受注額3,500万ユーロ)だったという。

一方、ダイムラーはこのほど、東レと設立した自動車用CFRP部品製造・販売合弁会社への出資比率を44.9%から5%に引き下げた。合弁会社で生産したCFRP部品の採用はこれまでのところ、メルセデス・ベンツブランドの「SLカブリオレ」「SL AMG」など一部のモデルに限られる。同社は他社にも部品の供給先を広げようとしたものの、需要が少なかったため出資引き下げを決めたという。