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2014/3/26

ゲシェフトフューラーの豆知識

上司・同僚への暴行は即時解雇

この記事の要約

病休中の部下が洗車している場面を上司が撮影したことは人格権の侵害に当たるとして、部下が起こした裁判について、このコラムで以前、お伝えした(2013年9月11日号掲載)。この裁判では、仮病で休業した具体的な疑いがある場合、 […]

病休中の部下が洗車している場面を上司が撮影したことは人格権の侵害に当たるとして、部下が起こした裁判について、このコラムで以前、お伝えした(2013年9月11日号掲載)。この裁判では、仮病で休業した具体的な疑いがある場合、当該社員の撮影は許されるとの判断を裁判所が示し、原告敗訴が確定した。

この部下は写真を撮影された際の上司への暴行を理由に雇用主から即時解雇が通告されてたことについても、その取り消しを求める訴訟を起こしていた。この裁判でラインラント・ファルツ州労働裁判所が1月に判決(訴訟番号:5 Sa 433/13)を下したので、取り上げてみる。

原告は被告メーカーの工場に勤務していた。2013年2月25日~3月13日の期間、ホームドクターから労働不能証明書(通称ゲルベシャイン)の発行を受けた、また、これとは別に3月12~27日の期間、神経科の医者からゲルベシャインの発行を受けた。この間、勤務はしていない。

病休中にも関わらず同社員は3月16日、A市の洗車場で車の洗浄を行った。その場面をたまたま見かけた上司は、同社員が元気なことに驚き、携帯電話のカメラで撮影した。両者はその場で口論。原告はその場にいた父親とともに上司を地面に押し倒したため、雇用主は原告に即時解雇を通告した。

1審のカイザースラオターンは原告の訴えを棄却。2審のラインラント・ファルツ州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、上司や同僚に対する暴行は労働契約の付随義務に著しく抵触すると指摘。即時解雇は妥当だとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。