独連邦銀行(中銀)と中国人民銀行(同)は3月28日、金融都市フランクフルトを人民元の決済・清算センターにすることで基本合意した。人民元の決済・清算センターが欧州に設置されるのは初めて。両国の貿易規模が拡大していることに対応した措置で、ドイツ企業の対中輸出に弾みがつくと期待されている。中国人民銀は31日、英中銀のイングランド銀行との間でも同様の覚書を交わした。
ドイツの企業が人民元建ての取引を行う場合、これまでは上海や香港市場で実施しなければならなかった。また、その際は人民元からまずドルに交換したうえでユーロ化する必要があった。フランクフルトが決済センターになると、こうした手間がなくなり、中国企業と取引をしやすくなる。フランクフルトの金融立地競争力強化を目的とする非営利法人Frankfurt Main Finance e.V.の試算として『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が報じたところによると、今回の合意に伴う独中小企業のコスト削減規模は少なくとも年5億ユーロに上る見通しだ。
フランクフルトでの人民元決済は特定の1行が引き受けることになっている。FAZ紙によると、同市に支店を持つ中国銀行が同業務を担う方向という。
ユーロ圏の人民元決済センターとしてはパリとルクセンブルクも有力候補とみなされていたが、独中間の貿易規模が極めて大きいことを受けてフランクフルトに白羽の矢が立てられた。