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2014/4/2

経済産業情報

中国資本、買収先の独企業で評価高く

この記事の要約

ドイツ企業を買収した中国企業は買収先企業の従業員からおおむね良好な評価を得ているようだ。労働組合系のハンス・ベックラー財団が実施した調査によると、「雇用」「給与」「事業所委員会の共同決定権」に関して買収先の従業員と摩擦や […]

ドイツ企業を買収した中国企業は買収先企業の従業員からおおむね良好な評価を得ているようだ。労働組合系のハンス・ベックラー財団が実施した調査によると、「雇用」「給与」「事業所委員会の共同決定権」に関して買収先の従業員と摩擦やトラブルが起きたケースはこれまでなく、中国企業が経営の自主性を尊重・配慮していることがうかがえる。

中国企業のドイツ進出は2010年ごろから活発化しており、対独M&A件数は11年に11件、12年に15件、13年には21件に上った(11年はハンス・ベックラー財団、12、13年はPwCの調べ)。

中国企業がターゲットとするのは機械、自動車、化学分野で高い技術力を持つメーカー。規模は小さくても特定の分野で世界トップの地位を誇る優良企業(ヒドゥン・チャンピオン)の取得にも関心が高い。長期的な成長・経営戦略に沿って買収先企業や買収後の経営方針を決めるため、「買収先企業との関係は、被買収企業の企業価値を短期間に高めることを重視する機関投資家よりも、はるかに協力的」という。

自動車鋼板会社テーラード・ブランクスは12年、独ティッセンクルップから中国・武漢鉄鋼に売却された。鉄鋼労組IGメタルと従業員代表の事業所委員会はその際、◇買収後5年間は事業拠点の閉鎖と人員整理を行わない◇既存の賃金協定をすべて継承する――などの合意を武漢鉄鋼から取り付けることができた。