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2014/4/9

経済産業情報

国外進出でドイツの良さを再発見

この記事の要約

コスト削減などの理由で製造拠点を人件費の安い国外にシフトするメーカーが少なくないなかで、ドイツの立地条件を再評価し、国内に回帰する企業もある。遊星歯減速機の製造・開発を手がけるWittensteinもそのうちの1社だ。同 […]

コスト削減などの理由で製造拠点を人件費の安い国外にシフトするメーカーが少なくないなかで、ドイツの立地条件を再評価し、国内に回帰する企業もある。遊星歯減速機の製造・開発を手がけるWittensteinもそのうちの1社だ。同社は数年前、ルーマニアに工場を設置、そこでの経験がドイツ評価の見直しにつながった。4日付『南ドイツ新聞』が報じた。

Wittensteinのマンフレート・ヴィッテンシュタイン社長は「我々はダイムラーやフォルクスワーゲン(VW)といった大手企業のように世界各地に工場を置くことはできない。生産拠点の立地選択では極めて慎重にならざるを得ない」と述べたうえで、市場規模、賃金、不動産価格といった経済的要因だけでなく、政治情勢、法的枠組み(法令、投資・産業規制など)も十分に検討する必要があると強調した。「政権が変われば制度も変わり、長期的な見通しを立てるのは極めて困難」なためだ。

同社長は10年前に中国への工場進出を検討したものの、同国では◇国外企業の活動が制限されている◇信頼できる法制度が存在しない――などの問題を把握。工場設置には「15年先を見通せることが必要」だが、中国ではせいぜい3~4年先しか見通せないため、生産移管を見送った。

ルーマニア工場は生産コストを削減する目的で2008年に設置した。しかし、同地では◇原料を安定調達できない◇設備の維持管理などに必要なサービスが受けられない◇研究機関からのサポートが得られない◇教育制度が異なるため人材を期待通りに投入できない――などのトラブルが続発。「安い人件費にだけに目を奪われると失敗する」ことを身をもって理解したため、2年前に独フェルバッハに工場を新設した。