欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2014/4/16

ゲシェフトフューラーの豆知識

健康上の理由で夜間勤務の免除を請求できるか

この記事の要約

労働契約で夜間勤務が義務づけられている被用者に、健康上の理由を根拠に夜間勤務の免除を請求する権利はあるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が9日に判決(訴訟番号:10 AZR 637/13) […]

労働契約で夜間勤務が義務づけられている被用者に、健康上の理由を根拠に夜間勤務の免除を請求する権利はあるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が9日に判決(訴訟番号:10 AZR 637/13)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は大手病院の看護婦が同病院を相手取って起こしたもの。同看護婦は労働契約書の規定により、日曜・祝日、夜間勤務を行うことを義務づけられていた(夜間勤務の時間帯は21時45分~6時15分)。

2012年6月になって、夜間勤務ができないことが医師の診断で明らかになったため、上司は12日から自宅療養を命令。原告は、夜間勤務以外なら仕事ができるとして、引き続き勤務させるよう要求したが受け入れられなかった。

自宅療養となってから6週間は、法律の定めに従い給与が支給されたが、その後は支給がなく、原告は失業手当を受給した。

原告は夜間勤務を除いた勤務の承認と、自宅療養期間のうち給与が支給されなかった期間の給与支払いを求めて提訴。1審と2審で勝訴し、最終審のBAGも下級審判決を支持した。

判決理由で裁判官は、原告は夜間勤務ができないだけであって、仕事ができないわけではないと指摘。被告病院はこの事情を斟酌して勤務シフトを組まなければならないとの判断を示した。

自宅療養期間中の給与を被告が当初の6週間しか支払わなかったことについても、仕事をしたいという原告の正当な要求を被告が拒否したことに問題があるとして、未払いとなっている給与の支払いを命じた。