化学大手の独BASF(ルートヴィヒスハーフェン)は2日、自動車用塗料や洗剤、高分子吸収材の原料となるプロピレンの巨大生産施設を米国のメキシコ湾岸地域に建設することを検討すると発表した。シェール革命の効果で同国の天然ガス価格が低下していること踏まえた措置で、生産コストを大幅に引き下げる考えだ。投資規模は10億ユーロを超え、個別の投資では同社史上最大となる見通し。
メタンベースでプロピレンを生産する考え。工場を開設すると、プロピレン事業の後方統合が強まり、北米市場シェアを拡大できるとみている。
BASFが同日発表した2014年1-3月期(第1四半期)決算の営業利益(EBIT、特別要因を除く)は前年同期比3.3%減の21億4,000万ユーロに縮小した。暖冬の影響で天然ガス需要が低迷し、石油・天然ガス部門を直撃。昨夏から続くリビアの輸出ターミナルのストライキで同国の石油採掘を停止していることも響いた。
売上高は為替差損の影響もあり1.1%減の195億1,200万ユーロに後退した。最終利益は2.1%増の14億7,700万ユーロ。北海の英海域にある石油・ガス田の権益を売却したことで同利益が押し上げられた。
14年12月期は天然ガス販売・貯蔵事業を露Gazpromに譲渡するため、売上高がやや減少する見通し。EBIT(特殊要因を除く)はわずかに増加すると予想している。