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2014/5/14

経済産業情報

旅客機内の有害煙霧、運航の安全に「支障なし」=独当局が調査

この記事の要約

ドイツ連邦航空事故調査局(BFU)は7日、旅客機のコクピットや客室内に突発的に流れ込む有害煙霧(fume events)に関する調査報告書を公表した。それによると、有害煙霧の発生によって重大な事故につながる確率は極めて低 […]

ドイツ連邦航空事故調査局(BFU)は7日、旅客機のコクピットや客室内に突発的に流れ込む有害煙霧(fume events)に関する調査報告書を公表した。それによると、有害煙霧の発生によって重大な事故につながる確率は極めて低く、飛行の安全が脅かされるリスクはほとんどないとしている。

BFUは2006~13年に報告を受けた事故やトラブル845件を対象に詳細な調査を実施した。845件のうち、キャビン内への煙霧流れ込みに関するものは663件で、内訳は(オイルが焦げたような)不快なにおい発生が460件、煙の発生が188件、煙霧はなかったものの乗客が頭痛や吐き気などの症状を訴えたケースは15件だった。

事故・トラブルのなかには、パイロットが酸素マスクを着用したり、パイロットが一時的に操縦不能に陥るといった重大な事例が数件みられたものの、ほとんどのケースでは客室の快適性が損なわれるといった軽微な影響にとどまった。BFUはこれを踏まえ、有害煙霧が全体として航空機の安全な運行に重大な影響を及ぼすことはないとの見解を示した。

一方、パイロットなどの乗員が機内の空気を吸い続けることによる長期的な健康被害についてはそれを示唆する証拠があったとしながらも、今回の調査の範囲では因果関係の解明には至らなかったとしている。

BFUは今後の飛行の安全確保に向け、◇有害煙霧の発生防止や成分特定の手法の改善◇事故届出手続きの改善◇キャビン内空気測定法の最適化◇有害煙霧と健康への長期的な影響を評価する方法の確立――の4点を推奨した。