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2014/5/21

経済産業情報

消費者金融の手数料徴収は不当

この記事の要約

消費者向け融資の手続きで徴収される手数料をめぐる係争で、連邦司法裁判所(最高裁、BGH)は13日、銀行が顧客から手数料を徴収するのは不当との判決を下した。融資は銀行の本来業務であり、義務の履行にかかるコストを顧客に転嫁す […]

消費者向け融資の手続きで徴収される手数料をめぐる係争で、連邦司法裁判所(最高裁、BGH)は13日、銀行が顧客から手数料を徴収するのは不当との判決を下した。融資は銀行の本来業務であり、義務の履行にかかるコストを顧客に転嫁することは認められないと言い渡した。(訴訟番号:XI ZR 405/12、XI ZR 170/13)

訴えを起こしていたのはポストバンクとNational-Bankでそれぞれ消費者融資契約を結んだ顧客2人。ポストバンクで契約を結んだ顧客は、本来の融資額4万ユーロに対し、3%の手数料として1,200ユーロが上乗せされた。この結果、顧客が完済時の返済総額は4万9,129.71ユーロに達した。また、National Bankの顧客は1万ユーロの契約で融資額の1%〈100ユーロ〉を手数料として請求された。原告2人は手数料徴収は不当として銀行に返還を求めたものの、拒否されたため提訴した。

BGHの裁判官は、◇融資期間に関係なく融資額によって手数料を定めることは消費者に一方的に不利◇手数料は本来業務から派生した事務(顧客の請求を受けた証明書発行など)にかかる経費であり、みなし利息として扱うことはできない◇両行の約款で規定されている手数料の名目は、融資に直接かかわる業務であり、これに対し手数料を徴収することは不当――と指摘。両行に手数料返還を命じた。

消費者向けの融資では一般的に手数料が徴収されている。手数料額は銀行によって異なるものの、平均で融資額の2%、最大3.5%となっている。今回のBGH判決では返還請求ができる期間(時効)が具体的に提示されなかったものの、不法行為の一般的な時効期間は3年となっているため、過去3年以内に融資契約を結んだ顧客が大挙して手数料の返還を求める可能性がある。